本決定により、EU域内におけるクロルピリホスの製造、市場への投入(販売・輸入)、および使用が原則として全面禁止されます。
規制対象と意図しない不純物(UTC)の制限値
クロルピリホスは、農薬や建築資材の白アリ防除剤などとして世界中で広く使用されてきた代表的な有機リン系殺虫剤ですが、残留性・生体蓄積性・毒性(POPs特性)および神経発達毒性が懸念され、国際的な規制対象となりました。
非意図的微量汚染物質(UTC)の閾値: 物質、混合物、または成形品(製品)に不純物として不可避的に含まれる場合、含有濃度は0.1 mg/kg(0.1 ppm)以下 に制限されます。
企業に求められる実務上の対応
EU向けに製品、農産物、建築資材、各種原料等を輸出する企業は、自社サプライチェーンにおけるクロルピリホスの残留リスクを点検する必要があります。
- 製品・部材の残留スクリーニング分析: 輸入部材や天然由来原料、農業関連資材、成形品などにクロルピリホスが非意図的に残留・混入していないか、0.1 ppmの閾値をクリアしているかを精密機器分析で確認する。
- サプライヤーの追跡と証明書の整備: 特に過去にクロルピリホスが使用されていた地域や工程からの調達品について、非使用証明および分析データを整備する。
まとめ
EUにおける残留性有機汚染物質(POPs)規制の強化は、農薬成分のみならず、各種産業資材や成形品全体における「意図しない不純物」の管理を求めています。
特に今回設定された 0.1 mg/kg(0.1 ppm)という基準値は非常に厳格であり、最新の超精密機器(GC-MS/MSやLC-MS/MS等)による定量データがなければ、EU市場での適合性を客観的に証明することができません。欧州市場へ製品・資材を出荷しているメーカーや商社は、早期の残留分析およびスクリーニング調査を進めることが強く推奨されます。
