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Q1. PPWR(包装および包装廃棄物規則)の規制対象となる範囲を教えてください。化学品やBtoB向けの包装も対象になりますか?
A1. はい、対象となります。本規制は食品向けや一般消費者向け製品に限らず、EU市場に投入される「すべての包装」が適用対象です。化学品や産業機器などの製品パッケージや、BtoB(企業間取引)向けの包装材につきましても、等しくPPWR規制への適合が求められます。
Q2. 輸出時に使用する粘着テープ、木製パレット、ラップフィルムなどの梱包材は、具体的にどのように扱われますか?
A2. 粘着テープなどの「製品そのもの(未開封状態)」は規制対象外となりますが、製品の輸送や保護に使用される包装材料(パレットに巻くストレッチフィルム、木枠梱包、製品を保護する段ボールやカードボードなど)はすべて包装材とみなされ、規制の対象となります。
Q3. 現在使用しているPP(ポリプロピレン)やPETなどのプラスチック素材は、今後は使用できなくなるのでしょうか?
A3. 特定の素材の利用が一律に禁止されるわけではありません。規制の「リサイクル可能性要件」等を満たすかどうかは、使用される包装製品の仕様や、現地に適切なリサイクル施設が存在するか等に依存します。例えば、PET材等への切り替えを検討される場合でも、当該素材がリサイクル率などの規制要件を満たしているか、事前に確認を行うことが重要です。
Q4. 包装材の「リサイクル可能性」の評価について、自社による自己評価のみで問題ありませんか?
A4. 基本的には自己評価で差し支えありません。しかしながら、材料の組成(主材や添加剤)やリサイクル工程などにより、等級設定等の評価が複雑になるケースが多く見受けられます。詳細な仕様に基づいたリサイクル可能性の算定については、必要に応じて専門機関へ個別にご相談されることをお勧めいたします。
Q5. 重金属やPFAS(有機フッ素化合物)に関する成分分析や、試験結果の提出は必須でしょうか?
A5. 法令本文に試験実施の直接的な義務規定はございませんが、遵守を証明する「技術文書(TD)」には試験報告書等の証明資料を含める必要があります。コンプライアンスの観点から、重金属等の試験を実施することを強く推奨いたします。なお、PPWRにおける重金属4種の含有制限(合計100ppm以下)はRoHS指令よりも厳しいため、既存のデータがある場合でも再分析が必要となる可能性がございます。
Q6. PFASの規制は他の法規制を引用しているのでしょうか。また、規制物質のリストはいつ公開されますか?
A6. 本規制におけるPFASは、他法令の物質リストをそのまま引用するのではなく、REACH規則の中で独自に「PFASという物質群」として定義・規制される方式となっています。また、包装に含まれる懸念物質の調査は完了しており、2026年9月に欧州委員会へ提出される予定です。今後のリスト公開スケジュールにつきましては、引き続き最新動向を注視する必要がございます。
Q7. EUへ輸出するにあたり、企業として具体的にどのような書類を用意・管理する必要がありますか?
A7. EU市場へ製品を輸出・投入する際は、該当する包装の「適合宣言書(DoC)」および「技術文書(TD)」をご用意いただく必要がございます。木枠梱包やパレット等につきましても、梱包固有の識別情報を記載した書類を用意し、DoCおよびTDと一対一で紐づけて適切に管理することが求められます。
Q8. サプライチェーン全体での対応において、包材メーカーや印刷会社への調査・協力要請は必要ですか?
A8. はい、必要不可欠です。PPWRへの適合や宣言書の発行主体は主に製造業者や輸入業者となりますが、その要件を満たすためには包装材の成分や仕様に関する正確な情報が求められます。そのため、包材サプライヤーや容器メーカー、印刷会社様には、情報提供および関連資料の提出に協力いただく義務が生じます。
Q9. 【ケーススタディ】複合素材を用いた包装材について、理論上は分離可能ですが商業インフラがありません。リサイクル可能とみなされますか?
A9. 2030年以降、一定のリサイクル可能割合を満たさない包装はEU域内で使用できなくなります。例えば、複数の異なるプラスチック素材(PPやポリエステルなど)を織り合わせて強度を高めた複合素材の梱包材などの場合、「理論上は手作業で分離可能」であっても、商業的なリサイクルインフラが存在しない状況で直ちにリサイクル可能と判断するのは非常に困難です。 このような複雑な構成を持つ包装材については、実際の製造工程や素材の比率などの詳細情報を確認し、PPWRの基準に照らしてリサイクル率を個別に計算・評価する必要がございます。
ここからは新たに追加となったQ10~Q19の解説となります
テーマ1:リサイクル材の使用義務と有害化学物質リスク
Q10. 重金属の規制値をクリアしていれば、リサイクルを前提としない複合材料等の包装でも、今後欧州で販売を継続できますか?
A10. いいえ、EU域内での上市が実質的に不可能になる可能性が高いです。重金属規制をクリアしているだけでは十分ではありません。PPWRでは2030年以降、すべての包装に対してリサイクル可能性(Design for Recycling: DfR)に関する要求を満たすことが求められます。そのため、リサイクルが困難な複合材料などの包装は、将来的に市場から排除されるリスクがあります。
Q11. 規制対象となる有害物質は「重金属4物質」のみですか? PFASなどは対象外でしょうか?
A11. 食品接触包装など、用途に応じてPFASも明確に規制対象となります。 重金属4物質(鉛、カドミウム、水銀、六価クロム)だけでなく、特定の用途(例:食品接触包装など)においてはPFAS(ペルフルオロアルキル化合物およびポリフルオロアルキル化合物)の使用制限・制限値が設定されており、分析・評価が必要です。
Q12. 再生材(リサイクル材)は意図しない有害物質が混入しているリスクが高く、品質管理が困難です。それでも再生材を使用しなければならないのでしょうか?
A12. 2030年以降、プラスチック包装を中心に再生材の一定割合の使用が義務化されます。 安全性を理由に使用を回避することは難しいため、「リサイクル材メーカーからの情報入手」「原料由来・再生プロセスの把握」「実際の化学分析による品質確認」を組み合わせ、安全性を実証しながらPPWR適合を進めるリスク管理体制が不可欠となります。
テーマ2:適合宣言(DoC)・技術文書(TD)の準備と通関対応
Q13. PPWRの適合証明書(DoC)や技術文書(TD)は、輸入通関時に税関へ提出する必要がありますか?いつまでに準備すべきでしょうか?
A13. 通関時に毎回提出する制度ではありませんが、EU市場へ上市するまでに必ず整備・保管しておく必要があります。 税関で毎回チェックされるわけではありませんが、当局から求められた際に即座に提示できるよう、事前作成と保管が義務付けられています。
Q14. DoCやTDの決まった様式はありますか?もし準備できない場合、どんなペナルティがありますか?
A14. 現時点で決まった統一フォーマットはありませんが、作成・保管ができていない場合、製品の「市場からの回収(リコール)」や「販売停止」などの重大な措置を受けるリスクがあります。 フォーマットが未定であっても、必要な要求事項への適合性を証明する文書(TD)およびEU適合宣言書(DoC)を自社で整備しておく必要があります。文書がない状態で市場に出すと、当局による確認・指摘を受けた際に販売継続ができなくなります。
テーマ3:サプライチェーンでの回答対応とDFR(リサイクル設計基準)
Q15. 顧客(エンドユーザーや上位工程の事業者)からPPWRに関する適合可否や証明書の提出を求められました。リサイクルに関する詳細な定義がまだ確定していない中、どのように回答すべきでしょうか?
A15. 「現時点で明確になっている要求事項への対応状況」と「今後確定する基準への対応方針」を分けて回答するのが最善です。 具体的には以下のような文面での回答をおすすめします。 『該当材料につきましては、現時点で施行されているPPWR Article 6(1)の要求事項を確認した結果、現時点で把握している構成・材質およびリサイクル性に関する情報に基づき、同要求事項への対応状況を確認しております。 一方、Article 6(2)に基づく「リサイクル設計基準(DfR)」の詳細な評価方法については、欧州委員会による委任法等により今後具体化される予定であり、現時点で最終的な適合を確定・保証することはできません。 そのため、確定的な証明書をただちにお渡しすることはいたしかねますが、今後、欧州委員会により詳細基準・評価方法が確定した際には、必要に応じて再評価を行い、関連適合証明を発行させていただきます。』 ※過度な保証を避けつつ、法規制の動向に合わせた誠実なステップを提示することが重要です。
テーマ4:責任主体(EPR)と特殊包装の例外規定
Q16. 日本からEUの顧客へ製品を発送する場合、EPR(拡大生産者責任)の対応義務は誰に発生しますか?取引条件(DDPやDPUなど)によって変わりますか?
A16. 原則として「EU域内で最初に製品を市場に提供する事業者(輸入者)」が producer / EPR 義務者となります。 貿易条件(Incoterms)でDDP(関税込み持ち込み渡し)等を採用し、日本企業が輸入費用・通関負担を負う場合であっても、自動的にPPWR上の「producer」になるとは限りません。実際の市場提供形態や販売チャネル、川下顧客との契約関係を踏まえて総合的に判断する必要があります。詳細は個別のサプライチェーン構造に合わせた専門的な確認が必要です。
Q17. UN 2585(危険物輸送)用の包装材はリサイクル義務の免除対象と聞きました。パレット積載時に使用するシュリンクラップ(ストレッチフィルム)も対象外になりますか?
A17. パレット固定用のシュリンクラップは、原則として免除対象にはならず個別の判断が必要です。 危険物容器そのものはArticle 6(11)(f)に基づき免除対象となり得ますが、パレット上の荷崩れ防止や製品保護の目的で使用されるシュリンクラップまで一律に免除されるとは限りません。「UN 2585の危険物を輸送しているから」という理由だけで全体を免除対象と判断するのは適切ではないため注意してください。
テーマ5:化学分析の実務(重金属・PFAS・chemSHERPA)
Q18. サプライヤーからの自己宣言書(chemSHERPAなど)を入手していれば、PPWR対応として十分でしょうか?それとも実際の「化学分析試験」が必須ですか?
A18. メーカーの自己宣言(chemSHERPA等)のみでは不十分であり、実際の定量分析試験(実測データ)の取得が必要です。 特に重金属4物質の含有確認においては、自己宣言書だけでなく実際の分析試験結果(試験成績書)を保持しておくことが求められます。
Q19. PFASの「不使用証明書」を顧客から求められた場合、証明書の提示だけで十分ですか?
A19. 特に食品接触包装などのPPWR適合においては、不使用証明書のみでは不十分であり、実際の分析試験を行う必要があります。 PFAS規制への適合性を保証するためには、不使用宣言文だけでなく、専門の分析機関による定量分析試験を実施し、客観的なデータを手元に揃えておくことが品質保証の観点から強く推奨されます。
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※PPWR規制に関する適合性評価や技術文書の作成は、専門的かつ複雑な要件を含んでおります。また、確実な法令適合には正確なデータ収集が不可欠となるため、必要な情報提供や試験費用などについて、早期からサプライヤーと協議・交渉を進めておくことを推奨いたします。商業的なリサイクルインフラの状況も含め、判断に迷われるパッケージや梱包材がございましたら、素材の構成情報などをご準備の上、ぜひ弊社の個別相談窓口までお気軽にお問い合わせください。
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