CCOの対象範囲と使用禁止措置
両命令は、製造業者、輸入業者、流通業者、工業・商業ユーザー(試験研究機関を含む)に適用され、人健康および環境リスクを低減するための厳格な用途制限が課されます。
- 塩化ビニル(DAO 2026-28):
- ベンゼン(DAO 2026-29):
→6大製品分野での使用禁止: ①塗料・ワニス・コーティング・シンナー、②接着剤・ゴム製品、③繊維・皮革用溶液、④インク・染料、⑤洗浄・脱脂剤、⑥玩具・子供用製品での使用が禁止されます(経済的・技術的に代替が不可能な場合の厳格な適用除外申請を除く)。
→許容用途: 化学合成原料、自動車燃料、1%以下の混合物利用、研究室での分析試験用途などに限定されます。
事業者に課される実務要件
フィリピン国内で対象物質を取り扱う企業、および日本からフィリピン向けに輸出を行う企業は、以下の手続きを完了させる必要があります。
- EMBへのCCO登録と化学物質管理計画の策定: 事業者はEMBのオンラインポータル(OPMS)を通じてCCO登録証明書を取得し、ばく露防止策やPPE配備を定めた化学物質管理計画(CMP)を提出・運用する。
- 出荷ごとの輸入許可(Importation Clearance): 輸入業者は、貨物がフィリピンに到着する前に、船積み(出荷)ごとに事前に輸入許可証を取得しなければ通関できません。
企業に求められる具体的対応
- 製品中の含有量スクリーニング(1%基準の判定): フィリピン向けに輸出される溶剤、塗料、接着剤、コーティング剤、洗浄剤等にベンゼンが不純物等として1%を超えて含まれていないか、また塩化ビニルが混入していないか、精密機器分析(GC-MS等)で確認する。
- サプライヤー証明とSDSの整合性確認: 現地の輸入業者がスムーズにCCO登録および輸入通関を行えるよう、正確な成分配合比率を記載したGHS対応SDSおよび分析成績書を整備・提供する。
まとめ
フィリピンにおける化学物質管理は、塩化ビニルおよびベンゼンのCCO施行により、サプライチェーン全体を巻き込んだ厳格な管理体制へと移行しました。
特にベンゼンの「1%閾値」やエアゾール製品における塩化ビニルの混入防止には、客観的な精密化学分析(GC-MS分析等)による不純物・微量含有データの裏付けが必須となります。フィリピン市場へ化学品、塗料、接着剤、産業資材を出荷しているメーカーや商社は、自社製品の成分スクリーニングおよびCCO適合性確認を早期に実施することが強く推奨されます。
