重要な新規利用規則(SNUR)の概要と目的
TSCAにおけるSNUR制度は、過去に新規化学物質(PMN等)として評価された物質について、当初の評価範囲を超えた新たな用途展開やばく露量の拡大が行われる際に、EPAが事前にリスクを再評価できるようにするための仕組みです。
- 90日前事前届出(SNUN)の義務: 指定された19物質を「重要な新規利用」に該当する条件で製造、輸入、または加工しようとする事業者は、該当する活動を開始する少なくとも90日前にSNUN(Significant New Use Notice)をEPAに提出しなければなりません。
- 製造・輸入の制限: SNUNの提出後、EPAによるレビュー期間が完了し、必要な措置が確定するまでは、該当する用途での製造・輸入・加工を行うことが禁止されます。
米国向け輸出・化学品取扱企業に求められる実務対応
米国市場へ各種化学品、塗料・コーティング剤、樹脂材料、各種中間体を供給している企業は、自社製品のコンプライアンス状況を直ちに点検する必要があります。
- 製品・原材料の正確な物質同定とSNUR対象チェック: 供給する製品や原料の中に、今回SNUR最終規則の対象となった19物質(CAS番号およびTSCA特定名称)が含まれていないか、高精度な機器分析等により確認する。
- 用途およびサプライチェーンでの使用条件の監査: 対象物質が含まれている場合、自社および米国の現地顧客での使用用途や加工条件が、EPAの定めるSNUR指定条件(重要な新規利用)に該当しないかを評価・管理する。
- TSCAインベントリ・適合証明(Certifications)の維持: 米国通関時におけるTSCA適合証明(Positive Certification)の正確性を保つため、製品中の含有成分と規制ステータスを客観的データに基づいて維持する。
まとめ
米国TSCAにおけるSNURの指定は、対象物質の用途制限やサプライチェーン全体における取扱い条件の厳格化を伴うため、米国内の輸入者や現地顧客の事業に直接的な影響を及ぼします。
特に製品中の微量成分や不純物がSNUR対象物質に該当する場合、事前の確認を怠ると通関ストップやTSCA違反による多額の制裁金リスクが発生します。米国へ化学品、材料、部材を出荷しているメーカーや商社は、速やかに自社製品の精密成分分析およびTSCA法規制適合チェックを進めることが強く推奨されます。
