新たなデジタル管理制度のポイント
ベトナムの化学物質法および関連政令(Decree 113/2017/ND-CP等)に基づく本取り組みにより、特別管理化学物質を取り扱う事業者には以下の厳格な管理が要求されます。
- VNeID等を通じたデジタル本人・事業者認証: 対象化学物質の売買・譲渡を行う際、取引当事者の身元および事業者ライセンスをVNeID等の電子識別インフラを通じて厳格に確認・記録します。
- 国家化学物質データベース(National Chemical Database)への即時登録: 輸入・製造された化学物質の品名、CAS番号、含有濃度、数量、保管場所、ならびに販売先情報をデータベースへ正確に入力・追跡可能にすることが義務付けられます。
- 正確なベトナム語GHSラベルおよびSDSの紐付け: 電子識別管理にあたっては、製品に貼付されるGHSラベルや安全データシート(SDS)の記載内容と、実際の化学組成データが完全に一致していることが前提となります。
ベトナム向け輸出・流通企業に求められる実務対応
ベトナム市場へ化学品、電子材料、各種調合品、原材料を輸出している日本企業、および現地法人を所有する事業者は、以下の準備を迅速に進める必要があります。
- 自社製品の「特別管理化学物質」該当性監査: 自社が取り扱う化学品・調合物の中に、ベトナムの特別管理化学物質(指定毒物・爆発物前駆体等)に該当する成分が閾値を超えて含まれていないか、精密化学分析により特定する。
- ベトナム語GHSラベル・SDSの最新化と整合性確認: 現地の電子データベース登録およびトレース管理に対応するため、ベトナム基準(GHS)に適合した正確なベトナム語SDSおよびラベルを作成・準備する。
- 現地輸入パートナーとのデータ連携強化: ベトナム現地のインポーターや販売代理店がVNeIDや国家データベースへの申告・追跡手続きを滞りなく行えるよう、正確な成分配合比率や物理化学的データを提供する。
まとめ
ベトナムにおける化学物質規制は、VNeIDなどの国家デジタルインフラの導入に伴い、「紙書類による管理」から「リアルタイムな電子トレーサビリティ管理」へと大きく変化しています。
電子管理下では、届出・登録されたデータと実際の製品の化学組成との乖離(不一致)が即座に検知されるため、客観的で精度の高い成分同定・定量分析データの保有がコンプライアンス維持の絶対条件となります。東南アジア・ベトナム市場へ化学品や資材を出荷しているメーカーや商社は、早期に製品の成分スクリーニングとベトナムGHS/SDSの適合点検を進めることが強く推奨されます。
