RoHS規制について(RoHS3.0を含む)

RoHS3.0について

RoHS2.0については次の2物質が追加推奨物質として挙げられており、現在のRoHS2.0の10物質に追加されRoHS3.0となることが予想されますが、現状未公表です(2022年1月現在)。

11.中鎖塩素化パラフィン(MCCP)
12.テトラブロモビスフェノールA(TBBP-A)

ディファレントではRoHS3.0につきましても、追加物資が決定次第、早急に格安の価格を設定し対応を開始させて頂く予定です。

RoHS指令で規制される物質の種類について

2003年2月13日にEU(欧州連合)15カ国が発効したRoHS指令。2006年にはEC加盟国で施行がはじまり、ここでは6物質が規制対象となりました。その後、2015年にはさらに4物質が追加され、現在は合計10物質が規制対象となっています。こちらでは、それぞれの物質の概要や特徴を解説します。

RoHS指令により分析が必要となっている10の規制物質

まずは2006年7月1日から規制がはじまった6物質それぞれの特徴についてお伝えします。

1.鉛(Pb)

含有率を高めることで加工性の向上に期待できる鉛。ただし毒性についても知られており、体内へ過剰に取り込まれた場合「鉛中毒」を引き起こすと指摘されています。この症状は酵素の働きを阻害するもので、典型的な症例として貧血が見られます。その他、小児・胎児の場合は脳や身体の成長に悪影響が与えられるリスクが研究によって報告されています。

■RoHS指令による限界値(閾値):0.1%(1,000ppm)以下

2.水銀(Hg)

日本においてもっとも大きなインパクトを残したのは「水俣病」。社会問題ともなった水銀による公害です。中枢神経や内分泌器、肝臓の器官への障害や口腔内、脳等に与える有機水銀の毒性は非常に強く、これらは水銀中毒という名称で知られています。なおRoHS指令では。水俣病に類似した公害発生を防止する取り組みである水俣条約との関連も言及されています。

■RoHS指令による限界値(閾値):0.1%(1,000ppm)以下

3.カドミウム(Cd)

工業全般で用いられてきたカドミウムは微量であっても過剰曝露が起こる危険性をはらんでおり、骨折や腎障害にも結びつくカドミウム中毒を引き起こします。また、IARCの報告では発がん性に対する指摘もなされました。日本におけるカドミウムが引き起こした問題としては、「イタイイタイ病」が有名です。

■RoHS指令による限界値(閾値):0.01%(100ppm)以下

4.六価クロム(Cr)

鋼の耐食性向上のために使用されることも多い六価クロム。三価クロムや金属クロムとは異なり強い毒性を持ち、「六価クロム中毒」になると鼻中隔穿孔や癌、皮膚・気道障害などの症状を引き起こすリスクがあります。RoHS指令以外にも、環境基本法や水質汚濁防止法、土壌汚染対策法、労働安全衛生法などによって厳しい基準値が設けられています。

■RoHS指令による限界値(閾値):0.1%(1,000ppm)以下

5.ポリ臭化ビフェニル(PBB)

樹脂成型における難燃剤として用いられていたポリ臭化ビフェニルは、ポリ臭化ジフェニルエーテルよりも高い毒性を持つ化合物です。健康に対する影響の幅は広く、皮膚や肝機能、甲状腺、生殖器などにまたがる他、精神疾患や発がん性、ポルフィリン代謝異常などが報告されています。なお、現在では使用される機会はほとんどありません。

■RoHS指令による限界値(閾値):0.1%(1,000ppm)以下

6.ポリ臭化ジフェニルエーテル(PBDE)

ポリ臭化ビフェニル同様、難燃剤として用いられてきたポリ臭化ジフェニルエーテル。毒性こそポリ臭化ビフェニルと比較して低いものの、生物累積性の高さが問題点としてあげられています。ラットに対して行われた実験では、ペンタBDE・オクタBDE・デカBDEの3種類のポリ臭化ジフェニルエーテルを投入したところ、神経発育に重要な甲状腺ホルモンの血中濃度を低下させることが報告されています。

■RoHS指令による限界値(閾値):0.1%(1,000ppm)以下

現在RoHS2.0の規制物質は10物質になっています。

2015年6月4日には、以下の4物質が規制物質として追加されました。含有規制は19年7月22日に開始されました。

7.フタル酸ビス(2-エチルヘキシル)(DEHP)
8.フタル酸ブチルベンジル(BBP)
9.フタル酸ジブチル(DBP)
10.フタル酸ジイソブチル(DIBP)

上記はフタル酸エステル類と呼ばれる化合物で、プラスチックの可塑剤としてよく登場します。なお、毒性については各機関が研究を進めており、生殖毒性についての毒性評価が報告されています。なお、一部のフタル酸エステル類については発がん性の懸念も指摘されています。

■RoHS指令による限界値(閾値):0.1%(1,000ppm)以下

RoHS3.0について

RoHS2.0については次の2物質が追加推奨物質として挙げられており、現在のRoHS2.0の10物質に追加されRoHS3.0となることが予想されますが、最新の情報によりますと、当初の見込みより遅れており、2024年末までに合意され、2027年に施行される予測とのことです(2022年7月現在)。

11.中鎖塩素化パラフィン(MCCP)

塩素化パラフィン類(CPs)はアルカン( CₙH₂ₙ₊₂ で表される鎖式飽和炭化水素)に塩素を結合させた有機塩素化合物の総称であり、炭素数(n)によって、短鎖塩素化パラフィン(n=10-13、SCCP)、中鎖塩素化パラフィン(n=14-17、MCCP)、長鎖塩素化パラフィン(n=18-30、LCCP)に分類されます。塩素化パラフィンは主にプラスチックの可塑剤、難燃剤、として使用されていますが、人体や生物、環境への毒性があることから、REACH規制へのリストアップやPOPs条約などで使用が制限されています。今回はこれらのうちMCCPが規制の対象となっています。

■RoHS指令による限界値(閾値):0.01%(100ppm)以下(予想)

12.テトラブロモビスフェノールA(TBBP-A)

テトラブロモビスフェノールA(TBBP-A)は臭素系難燃剤の一種でありビスフェノールAの臭素化により生産されます。市販されるTBBPAのほとんどは、化学式 C15H16−xBrxO2 (x=1-4)で表される、臭素化度の異なるもののの混合物です。臭素化度が高いほど難燃性が高くなります。またプリント基板で使用されるエポキシ樹脂の製造には、低グレードのTBBPAが使用されます。有害性としては、発がん性の疑いがあり、また内分泌を阻害する作用があり、繁殖に対して毒性があること懸念されています。

■RoHS指令による限界値(閾値):10ppm以下(予想)

2.ディファレントでのRoHS3.0分析について

ディファレントでのRoHS2.0 10物質の分析価格はこちら。今後RoHS3.0につきましても、追加物質が決定次第、格安の価格を設定し対応を開始させて頂く予定です。現状価格につきましてはお問合せ下さい。引き続きよろしくお願い申しあげます。

3.RoHS3.0の検討状況について (2022年7月現在)

2021年3月2日、RoHS2に係るPack15最終レポートが公表され、今回はそのうちの「タスク2:RoHSの下での制限の可能性の視点から見た9物質の評価結果」について、その要点を以下にまとめて紹介します。結論は9物質中2物質が制限可能性物質として推奨されました(Task 2)。
今後、これらの2物質は時期がくれば、現在のRoHS2.0の10物質に追加される形で、RoHS3.0としての新しい規制が開始されるものと予想されますが、詳細は未公表です。最新の情報によりますと、当初の見込みより遅れており、2024年末までに合意され、2027年に施行される予測とのことです(2022年7月現在)

 

表 9物質および最終レポートの結論

  物質名 CAS番号 結論
1 Beryllium ベリリウム 7440-41-7 推奨されない
2 Cobalt Dichloride 二塩化コバルト 7646-79-9/7791-13-1 推奨されない
3 Cobalt Sulphate 硫酸コバルト 10124-43-3/10026-24-1 推奨されない
4 Antimony Trioxide 三酸化二アンチモン 1309-64-4 推奨されない
5 Indium Phosphide リン化インジウム 22398-80-7 推奨されない
6 Medium Chained Chlorinated Paraffins 中鎖塩素化パラフィン(MCCPs) 85535-85-9 推奨される
7 Nickel Sulphate 硫酸ニッケル 7786-81-4 推奨されない
8 Nickel Sulfamate スルファミン酸ニッケル 13770-89-3 推奨されない
9 Tetrabromobisphenol A ( TBBP-A) テトラブロモビスフェノールA(TBBP-A) 79-94-7 推奨される