欧州委員会は2025年4月14日、EU残留性有機汚染物質(POPs)規則〔規則(EU)2019/1021〕を改正する委任規則を採択しました。本改正は、PFOS(パーフルオロオクタンスルホン酸)に関する定義および特定免除条件の見直しを目的とし、2023年12月に実施されたパブリックコメントを経て決定されたものです。
新たな規制は2025年12月3日より段階的に適用されます
改正の概要
今回の改正では、以下の2点が主に強化されました:
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PFOSの物質識別定義の拡張
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非意図的微量汚染物質(UTC)としての許容濃度の大幅引き下げ
これにより、PFOSを意図せず含有する製品についても、より厳格な管理が必要となります。
改正内容一覧(抜粋)
項目 | 現行規定 | 改正後の規定 | 発効日 |
物質の識別 | パーフルオロオクタンスルホン酸およびその誘導体(C8F17SO2X、X = OH、金属塩(O-M+)、ハロゲン化物、アミド、ポリマー等) | パーフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)、その塩および関連化合物(同上) | EU官報掲載後20日目 |
特定の免除 (ポイント1) |
物質または混合物中のPFOSのUTC含有量が10 mg/kg(0.001%)以下 | 物質、混合物、または製品中のPFOSまたはその塩のUTCとしての含有量が0.025 mg/kg(0.0000025%)以下 | 2025年12月3日 |
特定の免除 (ポイント2) |
半製品・製品・部品中のPFOSのUTC濃度が0.1%未満(構造的・微細構造的に区別された部分に基づく)またはコーティング材料中でのPFOS量が1μg/m²未満 | 物質、混合物、または製品中のすべてのPFOS関連化合物の濃度合計が1 mg/kg(0.0001%)以下 | 2025年12月3日 |
特定の免除 (ポイント3) |
変更なし | 変更なし | EU官報掲載後20日目 |
特定の免除 (ポイント4) |
規定あり | 削除 | EU官報掲載後20日目 |
特定の免除 (ポイント5) |
規定あり | 削除 | EU官報掲載後20日目 |
今後の対応ポイント
本規制改正は、EU向け製品の輸出企業にとって重要な対応事項となります。とくにPFOSを微量に含有する可能性がある部材や製品については、再評価および分析証明の準備が求められます。
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